ダブル不倫で慰謝料請求された場合の示談・交渉の進め方ガイド

ダブル不倫は、両方の当事者が結婚しているため、慰謝料請求や家庭内のトラブルが普通の不倫より複雑になりやすいのが特徴です。

誰に慰謝料を請求できるのか、金額はどう決まるのか、示談や交渉はどう進めるのかなど、状況によって対応が変わります。そのため、最初の対応を間違えると、配偶者に知られたりトラブルが大きくなるリスクがあります。

本記事では、ダブル不倫で慰謝料請求を受けた場合に知っておきたい基本の仕組みや流れ、配偶者に知られず進めるための注意点を、分かりやすく整理して解説します。

1.ダブル不倫とは

ダブル不倫（Ｗ不倫）とは、不倫関係の双方が既婚者である不貞行為を指します。どちらも家庭を持っているため、発覚すると慰謝料請求や家庭内のトラブルに発展しやすく、単なる不倫よりも社会的・法律的なリスクが大きいのが特徴です。

2. ダブル不倫の慰謝料相場はどれくらい？

ダブル不倫の慰謝料は、一般的な不倫と同じく50万円～300万円ほどが相場です。
夫婦が離婚に至る場合は150万円～300万円、婚姻関係を続ける場合は50万円～150万円が目安となります。慰謝料の金額は、不倫の経緯や原因、内容、精神的苦痛や生活への影響などによって変動します。

3. ダブル不倫における請求の組み合わせと注意点

ダブル不倫では、2組の夫婦の中で、2人の被害者と2人の加害者が存在します。
ここでは、A夫婦（A夫が被害者）とB夫婦（B妻が被害者）として説明いたします。

3-1. 請求できる組み合わせ

不倫の慰謝料は、誰に請求するかを被害者が決めることができます。そのため、請求できる組み合わせは以下の通りです。
A夫 → B夫とA妻
B妻 → A妻とB夫

離婚の有無や被害者の考え方次第で、請求する相手は変わります。
離婚しない場合は、自身の配偶者には請求しないことが多く、双方の夫婦が離婚しないケースでは、A夫 → B夫、B妻 → A妻と、夫同士・妻同士で慰謝料請求が行われることが一般的です。一方、離婚する場合は、不倫相手と自身の配偶者の両方に請求することもあります。

なお、それぞれの慰謝料額が同じになるとは限りません。不倫の経緯や期間、不貞行為の内容、精神的苦痛の程度などによって、請求額は個別に判断されます。そのため、夫同士・妻同士の慰謝料が同額になるとは限らず、ケースごとに異なる結果になることを理解しましょう。

3-2. 双方が慰謝料を請求し合う場合は、四者間和解が有り得る

双方の夫婦が離婚しない場合、慰謝料を相互に請求しても、結局は夫婦間でお金が行き来するだけになってしまいます。
そこで、示談での解決を目指す場合には、互いに慰謝料を請求しないまま、金銭の動きをゼロにして終える方法が選ばれることがあります。これが、いわゆる四者間和解（四者間ゼロ和解）です。
四者間和解は、関わる4人全員の同意がなければ成立しません。 また、和解成立後のトラブルを防ぐため、示談書や合意書を作成しておくことが望ましいでしょう。その中には慰謝料に関する取り決めのほか、今後の接触を禁止する条項などが盛り込まれることが多いです。

3-3. 二重取りは原則できない

不倫の慰謝料は不倫をした2人両方に請求できますが、本来受け取れる金額を超えて受け取ってしまうと、二重取りと判断されます。同じ不倫に対して、二重取りは原則として認められていません。
例えば、A夫がB夫に慰謝料を請求して、B夫から十分な金額を受け取った場合に、同じ不貞行為を理由としてA妻からも慰謝料を受け取ることは二重取りと判断される可能性が高いです。

ただし、慰謝料の減額交渉や示談の内容によっては、受け取れる金額が変わるケースもあるため、自己判断せず弁護士に相談することが安心です。

4.ダブル不倫を自分の家族に知られたくない時の注意点

ダブル不倫の場合、不倫相手の配偶者から慰謝料請求をされると、自身の配偶者にも発覚するリスクが高まります。
慰謝料を請求された方の中には、配偶者には絶対に知られたくない人も多いでしょう。ここでは、家庭内で秘密を守るための注意点を整理して解説します。

4-1. 郵便物の扱いに気を付ける

慰謝料請求の内容証明郵便が自宅に届くと、差出人や文書の存在だけで配偶者に気づかれる可能性があります。
特に弁護士名が書いてあると、法律関係の通知ということから不審に思われるリスクが高くなります。そのため、事前に請求者と連絡が取れる場合は、送付先を自宅以外に変更してもらったり、封筒や差出人の記載を弁護士以外の名前にしてもらうなどの対応を依頼すると、配偶者に気づかれる可能性を下げることができます。

4-2. 嘘をつかない

慰謝料請求に対して嘘をつくと、後の交渉や裁判で不利になるリスクがあります。事実と異なる主張をすると、証拠によって簡単に反論された場合に信用を失ったり支払金額が高くなってしまうのです。
また、ダブル不倫の場合は、嘘をつくことで被害者の怒りが増大し、不倫相手の配偶者に不倫をバラす可能性も高まります。
そのため誠実な対応を心がけることで、トラブルを最小限に抑え、スムーズな解決を目指すことが望ましいです。

4-3. 無視や放置をしない

慰謝料請求を無視・放置すると、相手が訴訟に踏み切る可能性が高まります。
訴訟提起されると、裁判所から自宅へ郵便物が届き、それをきっかけに配偶者にバレてしまうかもしれません。 特にダブル不倫の場合、事情が複雑なため、連絡を放置すると誤解やトラブルが拡大することも考えられます。
届いた通知や連絡には必ず目を通し、必要であれば弁護士を介して対応することが大切です。早めに動くことで、精神的な負担を軽くし、解決までの道筋を見えやすくすることができます。

4-4. 弁護士をつける方がバレにくい理由

弁護士が代理人として対応すると、相手からの郵便物は事務所宛になり、自宅に届くことはありません。
また、連絡窓口も弁護士に一本化されるため、相手方との直接のやり取りによる発覚リスクも減ります。
早期に交渉が進むことで、家庭内でのトラブルや秘密が漏れるリスクも下がり、精神的負担を軽減できることが多いです。

まとめ

ダブル不倫では、慰謝料請求を受けると家庭内でのトラブルや配偶者への発覚リスクが非常に高まります。突然の請求に戸惑い、どう対応すればよいか分からない方も少なくありません。

弊所では、四者間和解の経験が多数あり、双方の夫婦が離婚せずに金銭のやり取りをゼロに抑えるケースや、配偶者に知られずに解決できた事例も多くございます。
初期対応から示談成立まで、一貫して秘密を守りながら進められる体制を整えておりますので、まずは安心してご相談ください。
一人で悩まず、早めに専門家に相談することで、余計なトラブルを避けながら最適な解決を目指せます。ご契約前のご相談は完全無料ですので、ぜひお気軽にご相談ください。