不貞慰謝料の通知書を受け取ったら読むべき!金額・示談の確認ポイント
不貞慰謝料請求の通知書が届くと、突然の出来事に驚きや不安を感じる方も多いでしょう。内容をよく確認せずに対応すると、法的リスクや精神的な負担が大きくなる可能性があります。
この記事では、通知書を受け取った後に取るべき対応や注意点、弁護士に相談するメリットについて整理します。
適切に対応することで、慰謝料の金額や示談条件を見直すことができるほか、家族や職場に知られずに手続きを進めることも可能です。
1.不貞慰謝料請求の通知書が届いたら、まず内容を確認する
不貞行為の通知書は、内容証明郵便で送られてくることが多いです。
通知書が届いた時点では、支払義務や支払金額が確定しているわけではありません。相手方の請求額が高すぎたり、支払う必要さえない場合もあります。
突然通知書が届くことで不安や焦りを感じてしまうかもしれませんが、適切な対応を取るために冷静に内容を確認していきましょう。
【内容証明郵便とは】
簡単に言えば、送った内容と日付を公式に証明できる手紙です。いつ、どのような内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、郵便局が保管し証明してくれます。慰謝料請求の際に利用されることが多いです。
1-1.請求者(通知書の送付者)の確認
①弁護士からの請求
被害者が代理人弁護士に依頼している場合、通知書の中に必ず弁護士の名前が記載されています。
例:〇〇氏代理人弁護士 □□□□
この場合は、弁護士が被害者の代理人となり、交渉や連絡の窓口になっていますので、被害者本人に連絡してしまわないよう注意しましょう。
また、焦って相手の弁護士に電話をすると、弁護士に言われるがままに高額な慰謝料を支払うことになる恐れが高いです。相手の弁護士は被害者の味方で交渉のプロです。自分での対応は難しいことが多いため、請求された側の弁護をしてくれる弁護士に一度相談した方が良いでしょう。
②被害者本人からの請求
被害者本人から直接通知書が送られてくることもあります。この場合、記載されている内容が法的に無効であったり、誤った要求であることも少なくありません。
自己判断で対応してしまうと、後々トラブルに発展するリスクが高いため、相手が弁護士に依頼していないからといって、自分だけで対応するのは避けるのが望ましいです。法律の専門家の弁護士に相談し、適切な手順で対応することをお勧めいたします。
③その他
行政書士からの書面の場合
行政書士は、権利義務や事実証明に関わる書類を作成する専門家です。慰謝料請求においても、不倫相手に送付する内容証明郵便や示談書の作成などを依頼することが可能です。
しかし、行政書士には慰謝料交渉の代理業務を行う権限はありません。そのため、届いた通知書に行政書士の名前が記載されていても、行政書士が代理人として交渉しているわけではありません。
行政書士の役割はあくまで書類作成に限定されるため、今後の連絡窓口や被害者への対応方法については、必ず記載されている連絡先を確認することが重要です。
被害者の親族や友人・知人からの請求
慰謝料の請求権を持つのは、原則として被害者本人のみです。友人や知人、さらには親や子どもなどの親族であっても請求権は認められません。
ただし、示談交渉に限り、弁護士資格を持たない代理人が被害者本人の委任を受けて対応するケースはゼロではありません。しかし、被害者本人と関係のない親族や知人が勝手に請求を行うケースでは、詐欺や不正請求の疑いもあり得ます。
そのため、慰謝料請求を受けた場合、請求者が被害者本人か、あるいは正式に委任を受けた弁護士であるかを必ず確認し、正規の請求であるかどうか慎重に判断することが重要です。
1-2.請求理由を確認
通知書には、必ず慰謝料請求の理由・根拠が記載されています。多くの場合、「不貞行為で受けた精神的苦痛に対する慰謝料」「不法行為に基づく損害賠償請求」といった名目が示されます。
しかし、肉体関係が存在しなかった場合や、相手が既婚者であることを知らなかった場合には、請求の理由が成立しない可能性があるでしょう。
そのため、通知書の内容をよく確認したうえで、記載されている請求原因に対して適切な反論が必要です。
1-3.請求金額の確認
請求理由のあとに、必ず請求金額も記載されています。ほとんどの場合、慰謝料もしくは損害賠償金という名目です。
慰謝料以外にも、探偵費用(調査費用)、弁護士費用を請求されることもあります。合計額と内訳を確認しましょう。
1-4.支払期限・回答期限の確認
多くの通知書には、「書面到達後〇日(または〇週間)以内に下記口座へ振り込むこと」といった支払期限が設けられています。また、支払いではなく、回答や連絡をする期限が指定されているケースも珍しくありません。
これらの期限を無視したり過ぎてしまうと、裁判を提起されるリスクが高まるほか、相手方に誠意がないと判断され、請求額を増額される可能性もあります。
トラブルを大きくしないためにも、そして誠実な対応姿勢を示すためにも、相手から指定された期限はできる限り守ることが重要です。
1-5.金額以外の要求を確認
多くの場合、通知書の最後の方に、今後は不貞相手との連絡や接触をしないこと等が記載されています。何か相手方の要求が書かれている場合は、法的根拠があるのか等を専門家に確認するのが望ましいです。
2.通知書を受け取った後の対応方法や注意点
多くのケースでは、慰謝料請求の通知書を受け取った後、まずは相手方との示談交渉に進みます。通知書に記載された金額や事実関係を踏まえつつ、双方が納得できる条件を探り、金額や支払方法などについて話し合いを行います。ここで合意ができれば示談が成立し、比較的短期間で解決できるのが一般的です。 一方、相手が提示する条件に応じられない場合や、事実関係に争いがあり話し合いがまとまらない場合には、交渉は決裂し、裁判へ発展することになります。裁判になると時間や費用の負担も大きくなるため、可能であれば示談段階で適切に対応することが重要です。
ここからは、通知書で慰謝料請求を受けた後に注意すべきポイントを順番に確認していきましょう。
2-1.無視や放置はせずに期限内に相手方に連絡する
不貞の慰謝料を請求されたときに、相手へ連絡をせず無視したり放置してしまうと、相手としては裁判を起こさざるを得なくなります。話し合いで解決できるチャンスを逃し、いきなり裁判に進んでしまう可能性が高くなるということです。
もし裁判になった場合、請求を無視したという事実は、裁判官にあまり良い印象を与えません。そのため、反論がある場合や、全く身に覚えがない場合であっても、まずは誠実に対応することが大切です。
2-2.請求額が妥当かを確認する
慰謝料は、実際の支払額の相場よりも高い金額で請求されるケースが多いです。いくらが妥当な金額であるのかは、事案によって異なります。そもそも支払う必要がないケースもあります。
自己判断で相手方へ連絡した際に、高額な言い値をそのまま支払ってしまう恐れがあります。まずは弁護士に相談して、慰謝料の相場や適切な対応方法を聞くのが望ましいです。
弁護士と相談のうえ、請求額が高すぎる場合は、減額交渉を進めるのが良いでしょう。
2-3.反論したい内容があれば、時系列や証拠を確認する
通知書の内容で反論したい箇所・納得できない箇所がある場合は、交渉の中で反論していく必要があります。
反論したい内容がある場合には、まず事実関係を正確に整理しましょう。いつ・どこで・何があったのかといった時系列を明確にし、それを裏付ける証拠(メッセージの履歴、写真、位置情報、領収書など)がないか確認します。
相手の主張と食い違う部分がある場合でも、根拠となる事実や資料を示しながら冷静に説明することで、主張の説得力が高まります。感情的な否定だけでは交渉が進まず、かえって不利になってしまうこともあるため、事実に基づいて説明することがとても重要です。
また、ご自身だけで判断するのが難しい場合は、早い段階で弁護士に相談することで、どの点をどのように反論できるか、戦略的なアドバイスを受けることができます。
2-4.示談条件(慰謝料額・支払方法・謝罪文など)を慎重に確認する
示談交渉では、慰謝料の金額だけでなく、支払方法、支払期日、接触禁止に関する取り決め、謝罪文の有無など、さまざまな条件が提示されます。
示談書にサインする前には、提示された条件が妥当かどうか、今後トラブルを生まない内容になっているかを慎重に確認しましょう。内容をよく理解せずに署名してしまうと、後から不利な条件に気づき、取り返しがつかなくなることもあります。
少しでも不明点があれば、自分で判断せず、事前に弁護士に相談することが望ましいでしょう。
3.慰謝料の通知書が届いた際に弁護士に相談するメリット
不貞慰謝料の請求を受けた場合、自己判断で対応すると、法的リスクや精神的負担が大きくなる可能性が高いでしょう。弁護士に相談することで、適切かつ安全に対応できるさまざまなメリットがあります。
3-1.支払義務や金額の妥当性を判断してもらえる
通知書に記載されている慰謝料の金額は、必ずしも相場に合っているとは限りません。
もし相手が過大な金額を請求している場合でも、弁護士であれば法的・客観的な知識に基づき、適正な金額まで減額できる可能性が高いです。
さらに、証拠や事実関係によっては、慰謝料の支払義務自体がないと認められる場合もあります。
請求額が過大なケースでは、弁護士に依頼する費用を支払ったとしても最終的には全体のコストを抑えられる可能性が高く、弁護士費用も含めて一度弁護士に相談することが望ましいでしょう。
3-2.時間や精神的な負担・ストレスを軽減できる
請求者本人やその代理人弁護士と直接やり取りする場合、精神的な負担は非常に大きくなります。
また、専門知識がない場合は情報を調べたり、状況を整理したりする時間も必要で、負担がさらに増えます。
弁護士に相談することで、直接のやり取りを避けながら適切なアドバイスを受けられます。
自分の味方となる専門家がいることで、心理的な安心感も得られ、対応がぐっと楽になります。
3-3.示談条件の交渉も任せられる
示談交渉がまとまった場合、相手方と示談書(合意書・和解書・和解契約書など)を取り交わします。文書の形式は異なっても、内容の趣旨は同じです。
示談書には、今後の接触禁止や口外禁止(守秘義務)などの条件を盛り込むことができます。
もしこちらに不利な条件が含まれている場合でも、弁護士を通して削除や修正を申し入れることが可能です。
つまり、示談条件の交渉も弁護士に任せることで、安全かつスムーズに進めることができます。
3-4.家族や周囲に知られるリスクを減らせる
慰謝料請求の通知書が届くと、家族や会社に知られたくないという場合も多いでしょう。弁護士に相談すれば、こうしたプライバシーを守りながら対応できる可能性が高いです。
弁護士を通じて通知書への返答や示談交渉を行えるため、直接相手方とやり取りする必要がありません。
書面の受け取り方法や連絡手段についても、家族や同居人に知られない方法を弁護士と相談して調整することができます。
弁護士に依頼することで、法的にも精神的にも安全な対応を取りながら、家族や会社に知られることなく手続きを進めることができる可能性が高いです。
まとめ
慰謝料請求の通知書に対しては、まず冷静に内容を確認し、請求者や請求理由、金額、支払期限などを整理することが重要です。
示談交渉では、支払額や支払方法、謝罪文、接触禁止などの条件を慎重に確認し、必要であれば弁護士に相談して交渉を任せることで、安全かつ有利に手続きを進めることができます。
【弁護士に相談するメリット】
・支払義務や金額の妥当性を判断してもらえる
・直接のやり取りによる精神的負担を軽減できる
・示談条件の交渉や修正を安全に進められる
・家族や職場に知られずに対応できる
慰謝料請求に直面した際には、ぜひ一度当事務所へご相談ください。ご相談は無料です。
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