夫が未成年と不倫…相手から慰謝料は取れる?18歳未満への請求手順と注意点
夫の不倫が発覚し、さらにその相手が未成年だったと知った時のショックは計り知れません。裏切られた悲しみに加え、「未成年相手に何をしているのか」という夫への激しい嫌悪感、そして「相手が子供なら、法的に何もできないのでは?」という行き場のない不安に襲われている方も多いはずです。
結論から言えば、相手が未成年であっても、条件を満たせば慰謝料を請求することは可能です。しかし、相手が成人である場合とは、請求の仕組みも、動く際のリスクも大きく異なります。
この記事では、未成年相手への慰謝料請求を成功させるためのポイントと、被害者であるあなたが損をしないための注意点を詳しく解説します。
目次
1 慰謝料請求の根拠となる不法行為と不貞の定義
まず、なぜ不倫で慰謝料が取れるのかという基本を整理しましょう。相手が未成年であっても、この原則が全ての土台になります。
1-1 法律上の不貞行為とは
法律の世界で不倫は不貞行為と呼ばれます。
これは、配偶者以外の者と自由な意思に基づいて性的関係(肉体関係)を持つことを指すものです。
単に二人で会っていた、デートをしたというだけでは、裁判上の不貞行為と認められるには不十分なことが多く、あくまで肉体関係の有無が慰謝料請求の大きな境界線となります。
1-2 権利を侵害する不法行為
なぜ不貞行為が許されないのでしょうか。それは、あなたが配偶者と築いてきた婚姻生活の平穏という、法的に守られるべき権利を侵害するからです。
民法第709条には、故意または過失によって他人の権利や利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負うと定められています。これが不法行為に他なりません。
配偶者がいると知りながら肉体関係を持つことは、他人の家庭を破壊する行為であり、それによってあなたが受けた精神的苦痛(損害)を金銭で償わせる。これが慰謝料請求の本質なのです。
1-3 未成年(18歳未満)でも不法行為は成立するのか
ここで重要になるのが、本人に責任能力があるかどうかという点でしょう。 自分のしたことが他人の権利を害し、社会的にどのような法的責任を招くかを理解できる能力を責任能力と言います。
判例上、この能力はおおむね12歳前後、つまり中学生以上であれば備わっていると判断されます。したがって、たとえ18歳未満であっても、中高生であれば不法行為の責任を免れることは原則としてできません。彼らは既婚者と性的関係を持つことが、他人の家庭を壊す違法なことだと理解できる年齢だとみなされるためです。
1-4 共同不法行為者としての連帯責任
不倫は一人では成立しません。夫と不倫相手の二人が協力して、あなたの平穏な家庭を壊したことになります。
これを法律用語で共同不法行為と呼び、二人は連帯してあなたに生じた精神的苦痛を賠償する義務を負わなければなりません。一人が18歳未満であっても、成人である夫と共に責任を負うという構造に変わりはないのです。
2 未成年への請求で直面する現実的な壁
理屈では請求できても、相手が未成年の場合には、成人相手にはない特有のハードルが立ちはだかります。ここを知らずに動くと、無駄足に終わるばかりか、余計なストレスを抱えることになりかねません。
2-1 本人に支払い能力がないケースがほとんど
これが最大の壁となります。不倫相手本人に請求をしても、相手が学生であれば、まとまった慰謝料を支払うだけの貯金がないことがほとんどです。
裁判で勝訴して100万円を支払いなさいという判決が出たとしても、相手に預貯金や不動産などの財産がなければ、実際に現金を回収することは不可能です。空振りに終わるリスクを十分に考慮する必要があります。
2-2 親に代わりの支払い義務はない
被害者としては、育てた親の責任だ、親が払って当然だと言いたくなるのは痛いほど分かります。
しかし、日本の法律では、親が子供の不倫に対して代わりに慰謝料を払う法的義務は原則として存在しません。親に監督責任を問い、親自身を訴えるという手法もありますが、高校生くらいになると親が24時間監視することは不可能です。そのため、裁判で親の責任が認められるハードルは極めて高いのが現実といえます。
2-3 既婚者と知っていたかが激しく争われる
相手が幼い場合、夫が独身だと言った、既婚者だとは夢にも思わなかったという言い逃れをされるケースが成人の場合よりも格段に増えます。
もし本当に相手が既婚者だと知らず、かつ知らなかったことに落ち度がないと判断されれば、不法行為責任はないものとして、慰謝料請求は認められません。既婚者だと知っていたはずだと証明できる客観的な証拠の重要性が、成人相手よりも高くなる点に注意が必要です。
3 夫が逮捕される?青少年健全育成条例と刑事罰のリスク
相手が未成年(18歳未満)の請求において、最も慎重にならなければならないのが、あなたの夫が犯罪者になるリスクでしょう。
3-1 夫が刑事罰の対象になる恐れ
多くの自治体では青少年健全育成条例を定めており、18歳未満との性行為はたとえ合意の上でも禁止されています。相手が年齢を偽っていたとしても外見や言動から未成年だと分かったはずだ、あるいは金品を渡したり言葉巧みに誘い込んだりしたといった状況があれば、相手の親が警察に被害届を出した場合、あなたの夫には懲役や罰金などの刑事罰が科され、一生消えない前科がつく恐れがあります。
3-2 慰謝料請求が刑事告発の引き金に
あなたが不倫相手の親に強く慰謝料を迫りすぎると、親は娘を守るため、あるいは攻撃してくる相手への報復として警察に駆け込む可能性があります。
もしあなたが離婚を考えておらず、今の生活を維持したいのであれば、夫が逮捕されて職を失うことは、あなたの今後の生活基盤が崩壊することを意味します。100万円の慰謝料を取るために、数千万円の生涯賃金を失うという本末転倒な事態は避けなければなりません。
4 やってはいけない相手へのNG行動
怒りに身を任せて以下のような行動をとると、あなたが被害者から一転して加害者になり、法的責任を問われることになります。特に相手が18歳未満という社会的弱者である以上、周囲や法的な目はより厳しくなることを自覚しておかなければなりません。
① 学校や職場に不倫の事実をバラす
相手が通っている学校やアルバイト先などに不倫の事実を連絡する行為は厳禁です。将来のある未成年者の社会的地位を不当に奪うものとして、名誉毀損罪やプライバシー侵害に問われ、逆に訴えられるリスクが非常に高い行為といえます。
② 相手の親に対して過度な脅迫を行う
「慰謝料を払わないなら警察に突き出す」「近所に言いふらす」といった発言は、たとえ正当な権利行使のつもりでも、恐喝罪や脅迫罪に該当する恐れがあります。特に相手の親が防衛本能を強めた場合、法的トラブルが泥沼化する原因となります。
③ 本人を呼び出して一対一で長時間詰め寄る
相手は法的には未熟な子供に過ぎません。親や弁護士が立ち会わない場所で激しく問い詰めると、精神的苦痛を与えたとして、慰謝料を大幅に減額されたり、監禁や強要といった刑事事件に発展したりする危険があります。
5 確実に、かつ安全に解決するための戦略的なステップ
相手が18歳未満だからこそ、感情論を一旦脇に置き、法律と実利のバランスを冷静に見極める必要があります。被害者であるあなたが優位に立ち、かつ安全に着地点を見つけるための具体的な手順を解説します。
5-1 客観的な証拠の徹底的な収集と精査
性的関係があったことの証拠は、慰謝料請求の絶対条件です。
しかし、相手が18歳未満の場合は、それに加えて相手が既婚者だと知っていた証拠が勝敗を大きく分けます。既婚を前提としたやり取りをいかに押さえるかが重要です。
また、夫側が独身だと嘘をついて誘ったという証拠が出てきた場合は、相手の責任が大幅に軽減される可能性があるため、慎重な精査が求められます。
5-2 相手の親との道義的責任を軸にした交渉
前述の通り、法的に親に支払い義務はありません。しかし、現実的な解決策は、相手の親に納得して任意で支払ってもらうことに尽きます。
ここでのコツは、怒りに任せて相手の親を責めるのではなく、「本来はお子さん本人に請求すべきことですが、将来のあるお子さんのために、親御さんとしてどのようにお考えですか」と、冷静に道義的責任を問いかけることです。
相手の親が自身の子供に裁判沙汰等の傷をつけたくないと判断すれば、示談に応じる可能性が飛躍的に高まります。
5-3 夫の刑事リスクを回避するバランス
交渉の場では、相手側から警察に相談するという言葉が出ないよう、細心の注意を払わなければなりません。
不倫相手側が無理やり関係を持たされた、拒めなかったと主張し始めると、夫が条例違反だけでなく、より重い罪に問われる危険が生じます。
こちら側の権利を主張しつつも、相手を追い詰めすぎないという、非常に高度なバランス感覚が必要です。調整を誤ると家庭崩壊に直結するため、法律の専門家の弁護士等のプロの介入が推奨される場面といえます。
6 まとめ
夫の不倫相手が未成年だった場合、解決の難易度は通常の不倫の比ではありません。あなたがなぜここまで慎重に、相手側に配慮するかのような動きをしなければならないのか。その理不尽さに涙が出ることもあるでしょう。
しかし、一時の感情で動いてしまい、夫が逮捕されて生活が破綻したり、逆にあなたが訴えられたりすることは、あなたの人生をさらに壊すことになってしまいます。
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