不倫を認めないとどうなる?慰謝料請求で争えるケースと注意点
不倫の慰謝料を請求され、「本当に自分は不倫に当たるのだろうか」「認めないで通せるのでは」と悩む方は少なくありません。
世間で言われる浮気と、法律上の不貞行為には大きな違いがあり、判断を誤ると不利な結果を招くこともあります。本記事では、不倫が法的に認められる基準や、否認できる可能性のあるケース、注意点を整理しました。
納得できない請求を受けている方は、早めに弁護士へ相談することが解決への近道です。
目次
1.法的に「不倫」が認められる基準
不倫を認めないという判断をする前に、まずは法律上の定義を正しく確認しておきましょう。
世間一般で言われる浮気と、裁判において慰謝料が発生する不貞行為には大きな隔たりがあります。
1-1.肉体関係の有無
法律上の不貞行為とは、自由な意思で配偶者以外の人と性交渉を行うことを指します。
つまり、キスや手をつなぐ、あるいは頻繁にデートを重ねるといった行為だけでは、原則として不貞行為には該当しません。つまり、肉体関係がないのであれば、法律上の不貞行為を認める必要はないと言えます。
もっとも、たとえ肉体関係がなくとも、2人だけでホテルに行っている場合や、家に行っている場合は不貞行為と判断される可能性が高くなります。
1-2.故意や過失の有無
たとえ肉体関係があったとしても、相手の婚姻を知らず、さらに「知らないことに落ち度がない」と認められれば、法的な不貞行為には該当しません。
ただし、たとえ本人が知らなかったと主張しても、少し注意を払えば既婚者だと見抜けたはずだと判断されるケースでは、確認を怠ったとして責任を問われる可能性があります。
例えば、
相手が独身かどうか一度も尋ねたり確認したりしなかった
デートは平日ばかりで、土日や祝日に会うことを頑なに拒まれる
交際期間が長いにもかかわらず、一度も相手の自宅に招かれたことがない
こうした状況が揃っているにもかかわらず、相手の言葉を信じていたとされる場合は、既婚の可能性を疑うべきだったとみなされるかもしれません。こういった場合は、「過失がある」ものとして、不法行為責任を負います。つまり、不倫の慰謝料を支払う義務が生じるのです。
2.不倫を認めないで通せる可能性があるケース
慰謝料の請求を受けたとしても、必ずしも支払義務があるとは限りません。
以下のような状況の場合は、不倫を認めずに争える可能性があります。
2-1.相手が決定的な証拠を持っていないとき
慰謝料を請求する側には、不貞行為があった事実を証明する責任があり、これを立証責任といいます。
例えば、単に二人が一緒に歩いている写真だけでは、不貞行為の証明としては不十分と言わざるを得ません。決定的な不貞行為の証拠がないにもかかわらず、憶測だけで攻め立てられているのであれば、安易に認めず慎重に判断する必要があるでしょう。
2-2.肉体関係を推認させる事実がないとき
ラブホテルへの出入りや宿泊を伴う旅行といった事実は、肉体関係を強く推認させ、不貞行為が認められる可能性が高いです。たとえ肉体関係がなかったとしても、結果的に不貞行為が認められる可能性があります。
反対に、飲食店での食事や車内での会話程度であれば、肉体関係があったとは推認されず、社会通念上の交際範囲内と判断される可能性が高いでしょう。このようなケースでは、事実関係を正確に整理して伝えることで、不当な請求を拒否することが出来る可能性があります。
2-3.既婚者と知らなかったとき
たとえ肉体関係があったとしても、相手が既婚者であることを知らず、さらに「知らないことに落ち度(過失)がない」と認められるのであれば、法的な責任は発生しません。
独身だと騙されていた証拠を集め、支払義務がないことを主張する必要があります。
2-4.夫婦関係が破綻していると信じていたとき
交際相手から「夫婦仲はすでに冷え切っている」「もうすぐ離婚する予定だ」と繰り返し聞かされていたのであれば、それは有力な反論材料になります。
法律の世界では、守るべき婚姻生活がすでに崩壊していた場合、その後の行為による権利侵害は発生しないと考えられているからです。
相手から婚姻関係が破綻しているという説明を受け、それを事実だと信じて疑わなかったのであれば、慰謝料を支払う責任がないと判断される可能性があります。
ただし現実には、破綻の事実そのものが認められなかったり、相手の説明を鵜呑みにしたことに落ち度(過失)があると判断されたりするケースも少なくありません。破綻の報告を受けていたとしても、結果的に不貞が認定され、支払い義務が生じるリスクは残ります。
自身の主張が法的にどこまで通用するかについては、慎重な見極めが求められるでしょう。
3.相手が持っている証拠を調べることはできるの?
慰謝料を請求された際、最も気になるのが「相手はどこまで証拠を掴んでいるのか」という点ではないでしょうか。
相手が持つ証拠の内容によって、今後の対応方針は大きく変わります。しかし、確認の仕方を誤ると状況を悪化させてしまう恐れもあるでしょう。
3-1.相手に直接問い合わせることはリスクがある
証拠を見せてほしいと相手に直接伝える行為は、慎重に行わなければなりません。
なぜなら、証拠を気にしていること自体が「後ろめたい事実がある」と捉えられリスクがあるからです。手の内を明かすことを嫌う相手であれば、直接聞いてもはぐらかされてしまうケースがほとんどでしょう。
3-2.示談交渉では証拠を開示しないことが多い
実は、裁判になる前の示談交渉の段階では、相手方が証拠をあえて見せないことは珍しくありません。
これは、裁判での切り札として隠し持っておきたいという戦略的な理由や、証拠を見せることでこちらに言い逃れの隙を与えたくないという意図があるためです。こういった場合には、証拠の開示を求めても断られる可能性が高いでしょう。
3-3.送られてきた書面の内容から推測する
相手が持っている証拠を推測するヒントは、届いた内容証明の中に隠されていることもあります。
例えば、不貞があったとされる日時や場所がピンポイントで具体的に記載されている場合、探偵による調査報告書や確実な写真、記録などが存在する可能性が高いと言えます。
反対に、記述が曖昧な場合は、確固たる証拠がないままに「鎌をかけている」段階であることも考えられるのです。
3-4.弁護士を通じて証拠の提示を求める
相手がどのような根拠で慰謝料を請求しているのかを確認するには、交渉のプロである弁護士を窓口にするのが最も確実な方法です。弁護士を通じて、法的な観点から「請求の根拠となる事実を証明してください」と正当に求めることができます。
ただし、前述の通り示談交渉の段階では、あえて証拠を開示しない戦略を取る相手方の弁護士も少なくありません。そのため、開示を求めたからといって必ずしも応じてもらえるとは限らないのが実情です。
もし相手が開示を拒否する場合は、最終的に裁判の場で相手が証拠を提示するのを待つことになります。証拠が見えない中でどのように回答すべきか、あるいは裁判を見据えた対応に切り替えるべきかといった判断は、専門的な知識を持つ弁護士と慎重に進めていくのが安心でしょう。
4.不倫を認めない場合に気を付けるべきこと
不倫を認めないという方針を取る際、感情だけで動いてしまうと、かえって不利な状況を招きかねません。
法的なトラブルを最小限に抑えるためには、以下のポイントを正しく理解しておく必要があります。
4-1.安易な謝罪や示談書へのサインは控える
その場の雰囲気に飲まれて不貞を認めるような発言をしたり、示談書に署名したりすることは非常に危険です。
たとえ肉体関係がなくても、一度サインをしてしまうと、自らの意思で不貞を認めた確実な証拠として扱われてしまいます。後から「無理やり書かされた」と主張して取り消すのは極めて困難です。内容を十分に吟味できない段階での署名は絶対に避けるべきでしょう。
4-2.嘘をついて認めないのは、増額事由となる
もし不貞の事実があるにもかかわらず、虚偽の説明で否認を続けると、反省の色がない悪質な態度とみなされ、慰謝料の増額事由となる恐れがあります。また、相手方が明確な証拠を所持しており不貞を確信している場合は、示談交渉を打ち切られ、裁判へ進む可能性が一気に高まってしまうでしょう。
裁判においては、不貞の事実を裏付ける客観的な証拠があれば、訴えられた側(被告)がどれほど否認をしていても、不法行為責任は免れません。
それどころか、事実を否定し続けた態度は慰謝料の算定において不利に働き、相場よりも高い金額の支払いを命じられる可能性もあるのです。自身の首を絞める結果にならないよう、証拠の有無を見極めた上で、誠実な対応を検討することが重要になります。
4-3.相手からの連絡を放置してはいけない
不倫を認めないつもりだからといって、相手からの通知を無視し続けることは、誠意がないと判断されるだけでなく、早期に裁判へ踏み切られるきっかけを作ってしまいます。
裁判になれば、自身の言い分を証明するために多大な労力と時間を費やすことになります。まずは内容を確認したという事実を伝えつつ、専門家のアドバイスを受けながら書面で論理的に回答することが、事態の悪化を防ぐ鍵となります。
5.不貞行為を認めるべきか迷っているなら弁護士へ
不貞行為を認めるべきか、あるいは否認を貫くべきか、その判断に迷いを感じているのであれば、早期に弁護士へ相談することをお勧めします。
相手方が慰謝料を請求してくる際、すでに弁護士を立てて、あらゆる証拠や戦略を準備していることも少なくありません。法律の専門家を相手に、たった一人で「認める・認めない」の判断を下し、交渉を進めることは非常に大きな負担となります。
安易に不貞行為を認めれば、後から事実関係を争うことが困難になります。一方で、状況にそぐわない頑なな否定が、かえって交渉を不利に進めてしまうリスクも無視できません。
手元にある証拠の価値を見極める専門的な判断と、適切な交渉ノウハウを持つ弁護士のアドバイスを検討することが、最善の解決への第一歩となります。
まとめ:納得できない請求は弁護士法人ジェネシスへ
不当な慰謝料請求に対して、安易に相手の要求に屈する必要はありません。しかし、一人で交渉を進めるのは、精神的にも法的にも大きなリスクを伴います。
弁護士法人ジェネシスは、不貞慰謝料問題の解決に豊富な実績を持つ事務所です。認めるべきか否かの判断に迷っている方や、相手の主張に納得がいかない方は、ぜひ一度ご相談ください。状況を丁寧に伺い、専門的な視点から解決に向けたサポートをいたします。
相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
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